SOG付高圧負荷開閉器特集
 日本経済は改正建築基準法・原油高・サブプライム問題等によって、陰りが見え始めてきている。SOG付高圧負荷開閉器市場においても、さらなる原材料の高騰は一段と価格面を厳しいものにし、建設の遅れによる影響も憂慮される。こうした状況を捉えて「SOG付高圧負荷開閉器市場の現況と今後」について戸上電機製作所の協力で紙面構成した。

市場の現状

 日本経済は平成18年11月に戦後最長の「いざなぎ景気」を超え製造業を中心に拡大基調にあったが、昨年末頃から後退の兆しが見え始めている。その中にあって建設業界は、公共工事の減少に伴う競争が激しさを増す中で、改正建築基準法の影響と思われる建築物の着工の遅れが影響し、さらなる競争の激化が予想される。
 SOG付高圧開閉器メーカーは「バブル崩壊」後の失われた10―15年の間に、デフレスパイラルの渦に飲み込まれた形で市場価格は底なしの状態に陥っている。それに加えて、数年来の「原材料高騰」が収益性を著しく悪化させているのが現状だ。SOG付高圧開閉器の電源側は電力会社の配電線と直接接続されており、いったん開閉器にトラブルが発生すると「波及事故」となる可能性がある。逆に負荷側には数億円をも生み出す生産設備や生命に関る装置、金銭には換えがたい情報設備等が電気インフラによって稼働している。
 このようなSOG付開閉器の重要性について再認識し、価格のみの競争に疑問を投げかける関係者が目立ち始めた。本来、メーカーは「開閉器は安心・安全」を第一の考えに立ち、価格のみによる過当競争は避けるべきだ。
 同製品はいったん装柱されると、10年近く需要家の受電点を見守り、波及事故を未然に防ぐ役割を担う。メーカーは電気主任技術者への技術的アドバイスなどのサービスを充実させるべきだろう。
 SOG開閉器は昭和48年6月の通産省(現在・経済産業省)・「高圧受電設備の施設指導要領」の通達によりオイルレス開閉器として市場に普及し始め既に34年が経過しており、一部には古い製品が未だに設置されているようだ。事故防止のための開閉器が、逆に事故の原因となった例も報告される。メーカーや電気主任技術者、設備の保守担当者は古い設備のリニューアル化を積極的に推奨している。
 (社)日本電機工業会は「汎用高圧機器更新時期に関する研究報告」で開閉器は屋外用・10年、屋内用・15年、SOG制御装置は10年を更新推奨時期としている。
 この更新時期は、機能や性能に対する製造者の保証値ではなく、通常の環境のもとで通常の保守点検を行って使用した場合に、機器構成材の老朽化などにより、新品と交換した方が経済性を含めて一般的に有利と考えられる時期をいうが、とくにSOG制御装置には電子部品が多数使用されているため、使用されている環境条件(周囲温度、湿度、雰囲気等)に大きく影響を受けるので早め早めの取り替えが望まれる。機器の長期使用老朽化による事故は適切な更新を行えば、防止できるのである。

今後の予想

 近年、分散型電源の増加、風力発電・太陽光発電との連携など、配電系統は複雑化しさまざまな問題が顕著になってくるであろう。配電線と直接接続するSOG開閉器としてもそれらに対応する機能を検討する時期といえる。
 SOG開閉器は地絡事故発生時には即遮断し、事故点を切り離す。また、短絡事故の場合はその事故をいったん記憶しておき、配電線が無電圧になった時に開放し事故点を切り離すのがその基本動作だ。つまり短絡事故時は短時間の配電線停電が発生するのは避けられない。現代社会では一瞬たりとも停電が嫌われる環境にあり、近未来には短絡事故も即遮断し他需要家に波及させない時代がくるかも知れない。
 環境問題の観点からいえば、気中式の採用がよりいっそう加速される可能性がある。既に、省庁物件(新規)については架空線用に取り付けられる開閉器は、気中式もしくは真空式となっており、ガス(SF6)式は地中線用のみの適用となっているが、今年日本で洞爺湖サミットが開催されるに当り、気中化にシフトすることも予想される。
 ガス式の開閉器は気中式、真空式に比べ絶縁性能が優れており、雷害対策の一つとして有効な手段である。今後、気中化がさらに推進されていけば、雷害対策はいま以上に神経を使う必要があると考える。

今後の対応

 気中化の流れを受けて椛S関東電気工事協会は、地中線引き込み用のSOG開閉器・UGS、V―UGSのSF6ガスレス製品として気中タイプの開閉器(UAS、V―UAS)を優良機材として既に複数社の製品を認定し、徐々に実績が出て来ている。
 電力キャビネットの大きさは変わらないため、メーカーは小形化に工夫を凝らしているが、他機種でもガスレス製品を各メーカー開発していくと思うが、同様に小形化が課題になるのではないか。
 またVT(制御電源用変圧器)・LA(避雷器)を内蔵した開閉器(VL―PAS)は雷害対策とともに、設置場所が電源より離れている所や、既設の設備で新たに制御電源確保のための工事が困難な場所などに広く採用されている。
 VTやLAを内蔵しているVL―PAS、V―PAS、L―PAS、V―UGSなど、今後ますます増加すると思うので、とくに以下の点には注意していただきたい。
 なお施行時や試験時には、メーカーの取扱説明書を熟読されることである。
 @VT電源からほかの機器の電源供給は絶対にしない(容量不足によりVT焼損の恐れ)
 A制御線P1―P2間にAC100/110Vを印加しない(主回路に6600Vが誘起され危険また二重印加となった場合にはVT焼損の恐れ)
 B設置後に開閉器、負荷ケーブルをかねて耐圧試験を実施される場合
 ・開閉器の耐圧試験は開閉器を切状態(装柱状態では開閉器一次側;電源側が接続されている時がある)とし、主回路端子三相一括と対地間(一相毎の商用周波耐圧試験はケーブルの対地静電容量によりVTが過励磁となり焼損するので絶対に行わない)に、AC10350V(直流耐圧試験DC20700Vは避雷器の放電開始電圧以上が印加されることとなり、避雷器が破壊する恐れがあるので行わない)で実施する。主回路端子三相一括にて耐圧試験ができない場合は、開閉器と負荷ケーブルを切り離し、ケーブル耐圧のみの実施とする。
 ・SOG制御装置の耐圧試験は制御線P1、P2を外す↓Z2端子の接地を外す(試験終了後は必ずZ2端子の接地を接続する)↓警報接点a1、a2、a3、aCを外す。
 CZ2端子の接地は誤接続しない(接地線の色と同じVc端子に接続すれば、VT焼損の恐れ)等を念頭において、安全に利用して欲しい。
 (取材協力=戸上電機製作所)

提供:電材流通新聞(定期購読のお申し込みはこちらまで)