キュービクル特集
 キュービクルの需要動向は、設備投資の増大に加え、電力の小売り自由化と変圧器へのトップランナー方式の適用効果などが作用し、順調な推移をみせている。ところがここにきて、設備投資が一段落した状況で、キュービクルの出荷動向も“小休止”しているという。すでに“成熟商品”といわれ、景気の動向に需要が左右されることから、規制緩和や法改正効果を最大限生かすため、ユーザーへのさらなるPRが必要となりそうだ。



 経済産業省がまとめたキュービクルが含まれる、特別高圧・高圧配電盤の統計資料をみると、二〇〇四年八月は数量で四千八百二十九面とそれまでは四千面台で推移していたのに対し、翌九月は五千七百四十一面と一気に跳ね上がっている。

 以後、二〇〇五年一月に一度四千面台に落ち込むものの、そのほかの月は五千面台を維持、三月には六千四百面台にまで達している。

 二〇〇七年度からも、一部四千面台の月はあるものの、ほぼ五千面から六千面台の高位で推移している。

 こうした数字は、高圧電力の規制緩和と旺盛な設備投資に関係がありそうだ。

 電力の小売り自由化の波を受けて、二〇〇四年の四月に高圧電力の自由化が実現した。

 これで、二〇〇五年五月から、高圧で受電するすべての需要家に、小売り自由化の範囲が拡大することになった。

 この改正により、コンビニエンスストアやファミリーレストランなど小型店舗がキュービクルの導入を開始した。これに折からの新店舗の開店や設備投資の増加がキュービクルの需要増を押し上げたというのである。

 もうひとつ、更新需要の要因と目されたのが、省エネ法改正の一環で変圧器にもトップランナー方式が適用されたものだ。油入変圧器は、二〇〇六年四月から、モールド変圧器は二〇〇七年四月から適用されている。

 トップランナー方式の変圧器は、旧JIS製品に比べ、エネルギー消費効率が約三〇%も高く、機能的にも高性能鉄心材料の採用やコイルへの銅導体の採用などにより、高効率化を実現している。

 各キュービクルメーカーは、昨年二、三月ごろから同変圧器への切り替えを開始し、五月から六月にはほぼ切り替えを完了している。

 高効率材料を採用しているため、価格に関しては従来のものと比べ、格段に高い設定となっている。

 経済産業省の特別高圧・高圧配電盤統計資料によると、国内出荷金額面を見た限り、同適用前と適用後では、確かに同じような出荷数量でも金額自体は上がってはいるが、これがトップランナー適用効果なのかどうかはっきりとした判別はできない。

 むしろ数量、金額とも「景気上昇に伴う設備投資の増加による効果の方が大きい」とあるメーカーでは話している。

 こうしたなか、各キュービクルを製造しているメーカーでは、コンビニエンスストアなど狭小地でも設置できる小型のキュービクルをこぞって開発、市場に出している。低圧電力から高圧電力に切り替えることで、設備をもっと効率のいいものやちょっとしたキッチンなどを増設することができ、店舗でのサービスの向上が期待できる。

 規制緩和、法改正を背景に、さらなる需要増を狙う考えだ。

 河村電器産業が開発・発売した超スマートキュービクルは、その典型ともいえる。従来より設置面積を五四%も縮小し(同社比)、同社でもこれまでにない“究極のキュービクル”と自負している。

 日東工業が昨年五月に発売し、市場投入している「アイキュービクル」は、小型化に加え、プラグインユニットブレーカーの導入で、分岐ブレーカーの取り付け、取り外し作業が容易となっている。最近改修のための停電時間が問題となっているが、プラグインのため、かなりの時間短縮につながっている。

 トップランナー変圧器は、エネルギーの消費効率改善できるため、旧変圧器をリニューアルすることで、大きな省エネ効果、CO2の発生量抑制効果が期待できる。

 また、第二種エネルギー管理指定工場にもエネルギー使用量の記録義務に代えて、定期的に報告することになっている。これに該当する事業者は、現在使用しているエネルギーを把握する必要が生じている。

 キュービクルは、ちょうど電気の入り口に位置していることから、全使用電力を把握することが可能で、管理に有効なデータを取り出しやすくなっている。このため、エネルギー管理に必須となってきている電力量計の需要もキュービクルとともに増え続けている。

 ところが、ここにきて設備投資の増加とともに好調だったキュービクルの需要が横ばい、あるいは小休止状態になりつつあるとのことだ。

 あるメーカーによれば「最近の需要動向は落ち着きつつある。設備投資動向が一段落してきたせいもあるのだろう」と話している。コンビニ、中・小店舗が街の再開発、整備などで一気に増えた状況から、小休止の状態にあるという。

 価格的には、キュービクルの特徴として特注品が多いことや、トップランナー変圧器の価格が従来品より大幅にアップしたことから、極端な価格競争は行われていないようだが、需要動向が設備投資の状況に直接反映しているのも事実である。

 法改正や規制緩和があったとはいえ、キュービクルが成熟商品であることには変わりはない。今後設備投資が伸び悩むとすれば、ほかの電材市場と同様、リニューアルなどの市場へ一層目を向けなければならないだろう。

 一方で、こうした法改正や規制緩和による効果が一般ユーザーにスムースに浸透していないとみるメーカーもある。

 更新需要を狙うには、ユーザーがメリットを感じられるだけのPRや営業力のさらなる強化が必要となってくるだろう。

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