標準分電盤特集
標準分電盤特集

 政府は7月の、景気の基調判断を「回復は足踏み状態にあるが、このところ一部に弱い動きがみられる」との月例経済報告を発表した。景気回復が一時的に停滞する「踊り場」との判断がこれで5カ月連続となる。企業の業況判断は「一段と慎重さが増している」と3カ月ぶりに下方修正した。これまで企業が主導してきた景気回復は厳しい局面にさしかかっている。企業の景況感が大企業と中堅企業、中小企業でそれぞれ大きく悪化しており、ガソリンや食料品の値上がりが目立ち、景気を後押しする材料がなかなか見つからないのが現状だ。
 銀行の不動産・建設業向け融資に急ブレーキがかかり始めた。業界の経営環境の悪化をにらんで銀行が融資を厳しくし始めたことが背景にある。改正建築基準法に伴う住宅着工の減少や市況の低迷にあえぐ不動産・建設業界への融資のパイプが細り始めたことで、同業界の経営破綻も急速に増えている。今回はオフィスビル、商業施設、店舗など建設・不動産関連と密接な関係がある標準分電盤をリポートした。

 ビル・店舗・工場などが建って初めて標準分電盤も使われる。逆にこれらの建築がなければ、標準分電盤の出番もない。民間調査会社の東京商工リサーチが発表した08年上半期(1―6月)の全国企業倒産集計によると、倒産件数は7544件と前年同期比6・9%増えた。原材料高と改正建築基準法の影響を受けた建設業などで倒産が増えた。地価の下落や住宅の販売不振で不動産業の倒産も目立つ。
 大都市駅前などの一等地ならテナントビルを建てても入居者はあるが、少し場所が悪くなれば、テナント集めも難しくなる。
 商業施設もまったく同様だ。建てる側からすれば、改正建築基準法の改正により、建築日数のみならず、申請費用などかなりの出費増になる。加えて鉄、セメントなど建築資材の目を見張る高騰などの強い逆風が収まりそうにもない。マンション建設などに要する資材は、この2年間だけでも45%も値上がりしている。
 建設関連は裾野が広く、影響を受ける業種は多い。分電盤業界もその一つである。今年1―6月(上半期)の市場の動向は、商業施設・店舗・SCなどの計画見直し、規模縮小などの影響を受け減少傾向で推移しており、昨年同期比で2ケタ台の落ち込みとなっている。というのが標準分電盤メーカーのほぼ一致した見方である。
 先行きについては、希望的観測を持っているメーカーもあるが、市場全体の厳しい状態に変わりはなく、7―12月も前年ベースを下回ると予想しているところが大半だ。ただ、「全体指標をあらわす作図量が1―6月分と比較して7―9月分で上向きに転じてきており、この状況も年末、年度末に向けて少しずつ解消されるものと予想している」(松下電工)また、「環境整備関連、リニューアル工事などの受注が見込まれるので昨年並みの需要を期待している」(内外電機)というメーカーもある。
 いま建設業には、強い逆風が吹いている。改正建築基準法が施行されてちょうど一年が経過するが、これに対する影響はどうだろう。
 テンパール工業は「影響は薄れていると思われるが、ほかの要因(資材高騰、ローン金利上昇)も含めて5月時点で、新設住宅着工戸数は11カ月連続で減少しており、今後さらに市況が悪化する懸念がある」。
 内外電機は「基準法が施行された直近ではなく、12月ごろから大きく影響が出だした。前年比20%近くのダウンが見られる。2月、3月と徐々に持ち直したように見られたが、4月以降も低迷が続いている」、松下電工は「建築物件の規模によってもその影響の時期については異なるが、小規模建物は昨年秋ごろから、中・大規模建物は昨年末ごろから影響が出ている。工期延長・中断などのため、分電盤の販売金額にも少なからず影響を受けている」と厳しい状態が続いている。
 近年、分電盤の電気的接続の信頼性を高めるため、従来のネジ接続に加え、プラグイン・速決接続の普及が進んでいる。ところが、その商品の性能を規定する規格がないため、メーカー各社が独自基準にて製造をおこなってきた。JSIA308では、コード短絡保護用瞬時遮断機能を有する小型高性能分電盤に必要な品質性能を定め、プラグインに関する試験方法を明確にすることにより、商品品質レベルの統一化をはかるとしている。
 併せて、引用規格であるブレーカのJIS規格など関連規格が改訂されており、その内容に合わせて従来規格も見直す活動を推進中である。
 メーカーの売れ筋商品は、テンパール工業は「カスタマーボックスを使用したカスタマー盤が、省施行性・低コスト・軽量化が市場に受け入れられ、多くのユーザーに採用されている。
 また、コード短絡保護用瞬時遮断機能を有するプラグインタイプの小型高性能分岐ブレーカ(パールミニブレーカー)を搭載した標準電灯盤が現在主力となっている」。
 松下電工は「カンタッチ分電盤(カンタッチブレーカ:一次側プラグイン・二次側速決端子構造のブレーカ」。内外電機は「従来の安全ブレーカ(SB)に変わり遮断容量も2・5KAにアップした小形プラグインブレーカ(プラグインミニ)を採用した分電盤の需要が増えている。このミニブレーカは、一次側プラグ式、二次側結束式となっており施工性・安全性も考慮したもので、ユーザーの好評も得ている」とほぼ同様の動きだ。
 新製品の開発動向は、日東工業では、キュービクルから住宅盤に至るまでiSERIES(プラグインシリーズ)で応えている。徹底した標準化による低価格・短納期をベースにさらなる省スペース化と省施行およびリニューアル対応や省エネ、電源の安定供給などに考慮した新製品開発に取り組む一方、豊富な試験装置(IP試験・短絡試験・耐震試験・温度試験)を活用し、さらに安全性と品質の高い分電盤を提供していく。また、省エネのためには細かな電力計測による設備ごとの対策が重要になる。電力計側ユニット搭載により「安価で」「省スペース」な電力量の把握を可能にした「電力計測付標準分電盤」を開発した。
 業界の母胎とも言うべく盤標準化協議会では、今製品安全の調査研究を進めている。具体的には@機器などの取り替え推奨時期およびメンテナンスの制度の調査研究A技術資料“正しい盤の使い方”の見直しB技術資料“盤施工上の注意事項”の見直し―などを進めている。
 分電盤および搭載機器については、建物が壊れるまで使い続けられるケースが散見される。ブレーカの寿命は、日本電機工業会から取替推奨期間を15年とされている。しかしながら使用環境条件、開閉操作頻度などにより、製品寿命がさらに短縮されることを考慮する必要がある。
 製品安全が重要視される現在、この製品寿命の市場認知とそれに伴う更新促進について、JEMAと連携して推進し、製品末期の要因による電気事故を未然に防止することが強く望まれる。

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